(裏面GND付き)コプレーナ線路

概要

両面基板では裏面をベタGND層とし,表層に信号線を配線したマイクロストリップ線路(Micro Strip Line: MSL)構造がよく用いられがちです. このMSLに対し,表面の線路の両側にもGNDを配置した構造が(裏面GND付きの)コプレーナ線路構造です. この構造はGrounded Coplanar Waveguide(GCPW)やCoplanar Waveguide with GND(CPWG),もしくはConductor-Backed Coplanar Waveguide(CBCPW)などと呼ばれていますが,ここでは以降GCPWと呼ぶことにします.

MSLでは電界の多くが誘電体基板を出て空気中に分布しますが,GCPWでは線路の両側にGNDが配置されているため上方向への電界の漏れが少なくなります. したがってGCPWではMSLと比較して放射損やEMIの問題を抑えることができ,結合線路ではモード分散が少なくなるなどの特徴があります. また,GCPWは線路幅だけでなく線路-GND間隔も制御可能であるためMSLよりも設計自由度が高くなるといったメリットもあります.

GCPWの特性インピーダンス

GCPWの特性インピーダンスについていくつかのモデルがありますが,ここでは基板厚やG-S間隔に対し導体厚が十分薄いとして無視した以下の式[1]を用いています. また$K$は第一種完全楕円積分であり,ここでは[2]で示された反復式を用いて計算しています.

\begin{align*} Z_0 &= \frac{60\pi}{\sqrt{\varepsilon_{\mathrm{eff}}}} \frac{1}{\frac{K(k)}{K(k^\prime)} + \frac{K(k_1)}{K(k_1^\prime)}}\\ k &= \frac{w}{w+2s}\\ k^\prime &= \sqrt{1-k^2}\\ k_1 &= \frac{\tanh\frac{w\pi}{4h}}{\tanh\frac{(w+2s)\pi}{4h}}\\ k_1^\prime &= \sqrt{1-k_1^2}\\ \varepsilon_\mathrm{eff} &= \frac{1+\varepsilon_\mathrm{r}\frac{K(k^\prime)}{K(k)}\frac{K(k_1)}{K(k_1^\prime)}}{1+\frac{K(k^\prime)}{K(k)}\frac{K(k_1)}{K(k_1^\prime)}} \end{align*}

計算する奴

比誘電率 $\varepsilon_\mathrm{r}$ [-]
基板厚 $h$ [mm]

線路幅 $w$ [mm] 特性インピーダンス $Z_0$ [Ω]:
線路-GND間隔 $s$ [mm] 実効比誘電率 $\varepsilon_\mathrm{r,eff}$:
波長短縮率:

参考文献

[1] Brian C Wadell, "Transmission Line Design Handbook," Artech House, 1991.
[2] H. C. Miller, "Inductance formula for a single-layer circular coil," Proceedings of the IEEE, vol. 75, no. 2, pp. 256-257, Feb. 1987.

トップページへ