円形導波管

概要

学校等で導波管の伝搬モードについて習うとき,大抵は解析の容易な方形導波管を扱うかと思います. しかし,導波管の形状は必ずしも方形である必要はありません. 特に世の中には,鉄パイプや空き缶のといった円筒形状の物体が多々あるためこれらを導波管として扱えると工作には便利です. 授業では飛ばされがちですが円形導波管の各伝搬モードの解析については意外と教科書等[1]で詳細に解説されています. ここでは結果だけまとめますので詳細が気になるかたは教科書を見返してください.

円形導波管の内半径を$a$とすると,$\mathrm{TE}_{mn}$モードの固有値は$k_\mathrm{c} = \rho_{mn}^\prime/a$で与えられます. ただし$\rho_{mn}^\prime$は以下の表のようになります.

$n\backslash m$012
13.8321.8413.054
27.0165.3316.706

また,$\mathrm{TM}_{mn}$モードの固有値は$k_\mathrm{c} = \rho_{mn}/a$で与えられ,$\rho_{mn}$は以下の表の通りです.

$n\backslash m$012
12.4053.8325.136
25.5207.0168.417
これらの表からわかるように,円形導波管において固有値が最小となる基本モードは$\mathrm{TE}_{11}$モード,その次のモードは$\mathrm{TM}_{01}$モードとなります.

各モードの固有値がわかれば方形導波管と同様に以下の式から遮断周波数等を求めることができます. \[\lambda_\mathrm{c} = \frac{2\pi}{k_\mathrm{c}}\] \[f_\mathrm{c} = \frac{c}{\lambda_\mathrm{c}} = \frac{ck_\mathrm{c}}{2\pi}\] \[v_\mathrm{p} = \frac{c}{\sqrt{1-(\omega_\mathrm{c}/\omega)^2}}\] \[\lambda_\mathrm{g} = \frac{\lambda}{\sqrt{1-(\lambda/\lambda_\mathrm{c})^2}}\]

計算する奴

円形導波管の内径$D$ [mm]と使用周波数$f$ [GHz]から基本モード($\mathrm{TE}_{11}$モード)の遮断周波数$f_\mathrm{c}$及び管内波長$\lambda_\mathrm{g}$,第1高次モード($\mathrm{TM}_{01}$モード)の遮断周波数を求めます.

導波管内径 $D$ [mm] 基本モード遮断周波数 $f_\mathrm{c0}$:
GHz
使用周波数 $f$ [GHz] 高次モード遮断周波数 $f_\mathrm{c1}$:
GHz
基本モード管内波長 $\lambda_\mathrm{g}$:
mm

参考文献

[1] 中島将光,マイクロ波工学 基礎と原理,森北出版,1975.

トップページへ