学校等で導波管の伝搬モードについて習うとき,大抵は解析の容易な方形導波管を扱うかと思います. しかし,導波管の形状は必ずしも方形である必要はありません. 特に世の中には,鉄パイプや空き缶のといった円筒形状の物体が多々あるためこれらを導波管として扱えると工作には便利です. 授業では飛ばされがちですが円形導波管の各伝搬モードの解析については意外と教科書等[1]で詳細に解説されています. ここでは結果だけまとめますので詳細が気になるかたは教科書を見返してください.
円形導波管の内半径を$a$とすると,$\mathrm{TE}_{mn}$モードの固有値は$k_\mathrm{c} = \rho_{mn}^\prime/a$で与えられます. ただし$\rho_{mn}^\prime$は以下の表のようになります.
$n\backslash m$ | 0 | 1 | 2 |
1 | 3.832 | 1.841 | 3.054 |
2 | 7.016 | 5.331 | 6.706 |
また,$\mathrm{TM}_{mn}$モードの固有値は$k_\mathrm{c} = \rho_{mn}/a$で与えられ,$\rho_{mn}$は以下の表の通りです.
$n\backslash m$ | 0 | 1 | 2 |
1 | 2.405 | 3.832 | 5.136 |
2 | 5.520 | 7.016 | 8.417 |
各モードの固有値がわかれば方形導波管と同様に以下の式から遮断周波数等を求めることができます. \[\lambda_\mathrm{c} = \frac{2\pi}{k_\mathrm{c}}\] \[f_\mathrm{c} = \frac{c}{\lambda_\mathrm{c}} = \frac{ck_\mathrm{c}}{2\pi}\] \[v_\mathrm{p} = \frac{c}{\sqrt{1-(\omega_\mathrm{c}/\omega)^2}}\] \[\lambda_\mathrm{g} = \frac{\lambda}{\sqrt{1-(\lambda/\lambda_\mathrm{c})^2}}\]
円形導波管の内径$D$ [mm]と使用周波数$f$ [GHz]から基本モード($\mathrm{TE}_{10}$モード)の遮断周波数$f_\mathrm{c}$及び管内波長$\lambda_\mathrm{g}$を求めます.
導波管内径 $D$ [mm] | 遮断周波数 $f_\mathrm{c}$: | GHz | ||
使用周波数 $f$ [GHz] | 管内波長 $\lambda_\mathrm{g}$: | mm |
[1] 中島将光,マイクロ波工学 基礎と原理,森北出版,1975.
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