マイクロ波帯 ダイオード検波器の試作

Table of Contents

1 概要

高周波電力の検出のため信号を整流し直流電圧へ変換する検波回路を試作しました

2 ダイオード検波器の回路構成

ダイオード検波器にはさまざまな回路構成がありますが今回は以下に示すように入力信号に直列にダイオードを挿入し信号を整流,後段のキャパシタで平滑化するシンプルな構成にしました.

detector.png

今回は整流用ダイオードとして東芝の1SS154を用い,平滑キャパシタは100 pFとして製作しました.

3 測定と評価

3.1 インピーダンスの整合

先述した回路を試作しVNAにより入力インピーダンスを測定したところ以下のような特性が得られました.

before.png

この特性から高域側はともかく低域ではほぼオープンに見えていることが見てとれます. 今回試作した検波回路は50 Ω系に組み込んで使用することを想定しているためいいかんじに整合を取ることにしました. ここでは広帯域化を図るためにLCでは無く終端を挿入することで反射を抑制します.

detectorR.png dut.jpg

抵抗を入れた後の特性は以下のようになります.思ったよりカスですが使ってみた感じまあ行けそうだったのでよしとします.

after.png

3.2 周波数特性

以下のように測定系を構成し信号源の出力を0 dBmに固定して周波数を1 MHzから3 GHzまで変化させ各周波数における検波器の出力(DC RMS)を測定しました.

sys.jpg

このときの周波数対出力特性は以下のようになります.高域側2.8 GHzを越えるあたりで急激に利得が落ちるのは使用したダイオードの限界な気がするのでまあ良いのですがなぜか1 GHz付近の中域で利得が低く結果として2.4 GHz付近に山ができているのが気になります. 電力計用途に使うのであれば帯域内はなるべく周波数によらずフラットな特性が欲しいのですが謎です.

fs.png

3.3 電力特性

一方,信号源の周波数を2.4 GHzに固定し出力電力を変化させた場合の電力対出力(DC RMS)特性は以下のようになります. ダイオードの特性的にも-10 dBm未満の小電力ではほぼ出力が得られていませんがそれ以上であればまあ入力電力に相関性のある出力が得られているかと思います. また0 dBm付近で出力がやや頭打ちになりそうな傾向が感じられるのも気になるのですがこれ以上の電力は出せないのでまあ気にしないことにします.

ps.png

4 まとめ

ダイオードを用いた検波回路を試作し特性を確認しました. あまり性能が良いとは言えませんがまあ自分が使おうとしている用途的には問題無さげなので今日のところはひとまずこれで良しとします.

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